2012年7月1日日曜日

ロジカルパズルの旅

9ヶ月に及んだ辛く楽しいオーバーホールで哲学に興味を持ったってゆーのはどこかに書いたけど、興味を持ったので、禅とオートバイ修理技術とか哲学の本とかを少し読んでみた時期がありました。

そして、たいして理解できないなりにも哲学について分かったことの一つに、哲学は「AならばBの繰り返し」ってことがあります。バイクのトラブルに例えると、「エンジンがかからないならプラグに火が飛んでないかもしれない」、「プラグに火が飛んでないならプラグがかぶっているかもしれない」、「プラグがかぶっているならガスが濃いかもしれない」、「ガスが濃いならジェットの番手が違っているかもしれない」、と。ちょっと強引だけどこんな感じですね。

もちろん現実はこんなにシンプルには行かず、プラグに火が飛んでないってことまで確定したとしても、その先はいくつにも分岐します。プラグケーブル、コイル、ポイントなどなど。そしてもちろんそのそれぞれでさらに分岐したりなんてことも普通にあります。

そんな無数にあるパスを、確度が高いと思えるものから1つずつ検証し、どれだかわからないけれどどこかのパスの先に存在するトラブルの原因を探り当てるのが修理の醍醐味だったりします。ロジカルパズルみたいなもんですね。

そして、二週間ほど前の週末。

セルを押してもスターターが回らずエンジンがかからないってことが頻発するようになり、腰を据えて直してみようと作業にとりかかりました。

この症状は昨年から出ていて、その時はバッテリーが原因だと解釈して直したつもりでいましたが直っていませんでした。またバッテリーがやられたのか、それとも他に原因があるのかはわかりません。

症状から考えられる原因は、バッテリー、ソレノイド、ピニオンギア周辺、配線、スターターリレーなどありますのでテスターを当てたりしながら一つ一つ探っていきます。

さて、ここからすごく長くなりますが、その旅路を書いていきます。

■バッテリー
一回あげてしまっていたこともあるので最初に疑いました。普通の状態で12.4V、セルボタンを押しても11.7V位なので正常そうです。

■ソレノイド
ソレノイド自体がダメになっていることもあるのでソレノイドにある3つの端子にテスターを当てて調べてみます。ソレノイド自体も問題無さそうです。余談ですが、ココは私が持っているマニュアルに記載されている内容は完璧に間違っています。


念のため、ソレノイド自体に電圧を供給する真ん中の端子にバッテリから直接引っ張ってきた12Vを当てるとギュンギュン回ります。ソレノイドも正常ですね。

■ソレノイド←→スターターリレー間の配線
スターターリレーからソレノイドに来ている線のソレノイド側で計ってみます。ココはセルボタンを押さないと電圧がかからないのでちょっと手間ですが、7V前後でした。12Vなくてはダメだと思いますが5Vも電圧降下しています。

スターターリレーで5Vも電圧降下するとはまったく考えられないですが、まったく考えられないことも普通に起こりますからチェックしてみます。いたって正常そうに見えますが、何年か前にフタが壊れたのを応急処置したままだったので、この際新品に変えておきます。ラッキーを願ってセルボタンを押してみますが症状は変わりません。念のためスターターリレーのグランドも調べてみますが、きっちりとれているようです。

■だいぶ悩む
ココでだいぶ悩みましたw。症状も安定してなく、たまにセルが回りますが、すぐに回らなくなるし、回る素振りも見せなくなったりもします。安定してない症状は厄介ですね。ブレーカー?と思いしばらく放っておいたりもしましたがもちろん違いますね。

配線図とにらめっこして、色々なところにテスターをあてていると、先ほど7Vあったスターターリレーからソレノイドに来ている配線が0Vになっていました。

■再びソレノイド←→スターターリレー間の配線
問題ありません。

■スターターリレー自体
問題ありません。

■ブレーカー←→スターターリレー間の配線
ビンゴ! 断線していました。念のため、ブレーカー自体とブレーカー←→バッテリ間の配線もチェックして問題ないことを確認し、たくさんあった可能性の中のたった一つの真犯人にたどり着きました。この瞬間の気持ちよさはたまりませんね。

ということで、ブレーカーからスターターリレーまで既存のものと並行して新しい配線を一本引くべくブレーカーのあたりからバラし始めます。が、スターターリレーの5cmほどとなりにあるリヤブレーキスイッチに来ている12Vラインから分岐させればほんの7〜8cmほどの配線を追加するだけで直ることがわかったので、バラした箇所を組み立て、ブレーキランプの配線からショートカットを作成です。

3〜4時間かかったロジカルパズルの旅でしたが、終わってみると随分楽しめたゲームでした。