数年前に少し遊んだレーシングシミュレータでちょっと遊んでみたことをきっかけに、その2カ月後、部屋には27インチモニタが3枚並び、RTX5080搭載PCで首都高Modを走っていました。
そこにたどり着くまでの、なかなかに辛くあまりにも濃い時間について、せっかくなので記録として残しておきます。
1. 足首をやった
すべては、予期せぬ足首の靭帯損傷から始まった。足首がギブスで固定され、外に出ることもままならない。そんな悶々とした日々の中で、「レーシングシミュレーター(レーシム)があったな」とちょっと遊び始めたのが運命の分かれ道だった。
最初は手元にあったゲームパッドで遊んでいた。ただ、パッドで車を操作するのには限界があった。AIのGeminiを頼りにゲームのセッティングを煮詰めるが、ハンドルやアクセルの微妙な入力で車を操るのは無理だったし、やってみたかったドリフトもできなかった。
バイクに乗れない、運動もできない、レーシムも思い通りにできない、そんなやり場のないストレスがだいぶ溜まっていた頃のある夜、Amazonのタイムセールでハンドルコントローラー(ハンコン)とペダルのセットが安くなっているのを発見。ここから深い深いレーシムの深淵へ身を投じていった。
2. DD一択らしい
安くなっているとはいっても数万円。深夜テンションで買える金額ではない。しかも足がまだ完治してないためペダル操作ができるのは当分先。とりあえず一晩寝てみることにした。
そしてGeminiに相談開始。ハンコンの駆動方式、ペダルの種類、メーカー、価格帯、フォースフィードバックの強さなど、様々な知識をつけた。
AmazonでうっかりポチりそうになったハンコンはLogicoolのG29。上位モデルのG923もセール価格になっていた。ただしどちらもギア駆動。Geminiは「これから始めるならダイレクトドライブ(DD)一択です」と言う。・・・お前、軽く言うなよ。ギア駆動のハンコンより数万円高いじゃないか。悩ましい。でも欲しい。でも高い。
そんな中、DELEというレーシムギアを扱っているショップの決算セールが。背中を押された。というか突き落とされた。Moza R5というDDのエントリークラスハンドル、ペダルセットを購入。
3. 机の問題
届いたハンコンをとりあえず机に設置してみる。取り付け用のクランプが膝にあたり、アクセルやブレーキ操作ができない。そして、仕事に兼用する机なので、これから導入予定のシフターとハンドブレーキも含めて3つのデバイスを付けたり外したりするのも楽じゃない。
ガレージから折りたたみの工作台を持ってきてそれに設置してみる。出したり片付けたりは楽そうだが、小さすぎるしやっぱり無理がある。ハンコンステーかコックピットが必須と実感。
Geminiに相談し、通販サイトを巡回し、レビュー動画を見まくり、気づけば毎晩Sim Rig調査に没頭。最終的には
- Next Level RacingのWheel Stand Light 2.0
- Playseat Challenge
1.の方がコンパクトで安価だったが、椅子が別体なのでブレそうだ。デスクチェアを使ったら回転するのも防げない。体重をかけて安定させられそうな2.に決定。シフターステーはないが目星はついている。
4. 機材選びからの解放
シフターとハンドブレーキも導入しよう。シフターはHパターン・シーケンシャル兼用が理想。が、それなりに名の通ったメーカーのものはそれなりに高い。安い中華製を少し改造して使うことを考えたが、納期が遅いこと、音がうるさそうなこともあり悩ましい。
シフター選びでもGeminiに相談するけどほとんど当てにならなかった。Amazonで見つけたタートルビーチというメーカーを調べてみると、音も静かだし値段もリーズナブル。それに決定。ハンドブレーキはMozaのHBPに。音が静かだと思ったのと、PCへの配線を一本減らせるのと、何よりもうあれこれ比較するのが疲れた。
Youtubeや通販サイトを見て検討しまくる日々でだいぶ消耗していたが、機材を決定した今、悩ましい日々からやっと解放される・・・そう思っていた。
5. 試作1号の失敗
目星をつけていたシフターステーは割れるとの口コミ多数。いつものGeminiに相談すると、イギリスの LowDown Shifterというメーカーをおすすめしてくる。しかし、注文の難易度も高いし、納期が1か月近い。じゃぁ自作だ。
これがめんどくさかった。重たいシフターとハンドブレーキを手に持って何度も何度も取り付け位置の確認をした。操作する時の位置と、Playseat Challengeを折りたたんで収納する時の位置の両方の考慮が必要だった。
めんどくさすぎて「とりあえずパドルシフトでいいか・・・?」と何度か思った。けれども、絶対に満足できないことが分かりきっていたので、はやる気持ちを抑えてとにかく環境構築に頭を使い、満足できるものを目指した。
そして完成した試作1号。大失敗だった。利用時は全く問題ないものの、シートを折りたたむとものすごく邪魔。折りたたみ時の位置がちゃんと考慮できてなかった。
試作2号はばっちり。これで環境が整った。足もだいぶ回復しペダル操作に支障はない。やっと全ての悩みから解放され、走りまくれる・・・そう思っていた。
6. 全然走れない
Automobilista1(AMS1)というゲームでラリーを走ってみる。ところが操作がものすごく難しくてまともに走れない。
しかもハンドルがオシレーション(車が止まっていても右に左に行ったり来たり)するし、路面から拾う振動も不快。全然楽しくない。ゲームパッドのほうが楽しく遊べた。今までの苦労はなんだったのか。
Geminiを相手にセッティングを煮詰める。テキトーなことを言うGeminiにだいぶ翻弄されながらもいい感じのセッティングを出すと全く別のゲームのように楽しくプレーできるようになる。今度こそ遊べる環境が整った・・・そう思っていた。今度ばかりはその通りになった。
7. トリプルモニタの誘惑
環境構築プロセスから解放され、シングルモニタで楽しく遊んでいた。
ふとゲームパッド時代にトリプルモニタを試したことを思い出す。当時は「没入感はすごいけど遅くなる」で終っていた。試しにダブルモニターにしてみたらものすごく楽しい。
画面センターにモニター枠が来るけど、F1のHaloと同じと思えばまぁ良いかと思える。もしかして3画面も楽しいのではないか? もう一度3画面にしてみる。あれ? 結構楽しい。いや、すごく楽しい。そして没入感がものすごい。
FPSは20~30しか出ていないのにすごく楽しい。いつまでも走っていられる。沼落ちした。
8. 新PCの誘惑
環境構築できたらやってみようと思っていたドリフトにもチャレンジ。ドリフトといえばアセットコルサ(AC)。
しかし、ACはシングルモニタでバニラ(Modを入れてない状態)でも重い。
Geminiに相談しながら描画設定を下げるが、映像と音が劣化するだけでFPSは全然伸びない。Geminiいいかげんにしてほしい。
ACを諦めてAMS1でドリフト用Modを探しまくる。懲りずにGeminiに相談するが、AMS1用として教えてくれるものは大体AC用だった。いいかげんにしてほしい。本当に。Mt. AkagiもDrift Play LandもSkidPadも全部AC用のModだ。
しょうがないのでAMS1でドリフトの練習をするが一向にできるようにならない。
FPSがせめて60出ていればもっと効率的に練習できるかもしれない。いやもしかするとACならドリフトできるのではないか。しかもACなら、景色が素晴らしいLAキャニオンやPCH、なんなら超リアルな首都高も走れる。PCのスペックさえ高ければなぁ・・・。
この頃から本気でPCを新しくすることを考え始める。
9. また深夜だった
やっぱりAmazonで、ミニPCが安くなっているのを発見。深夜に。確かRyzen 7 7735HS (680M)を積んでいた。GPU性能はどうなのか。
今使っているPCの内蔵GPUはTimeSpyスコアが約500。ACをプレーする際の推奨スコアは3,600程度。見つけたミニPCのスコアは約2,500。FHD環境ならかろうじてAC+Modが動くらしい。メモリ価格が高騰している今、ものすごく高くなったゲーミングPCに比べるととてもリーズナブルだ。
でも深夜。また深夜。まずは寝よう。一晩寝かせてみよう。
明けて翌日。
見つけたミニPCは安いけど、絶対金額としては決して安くない。これを買ったとしても、最低限、もしくはそれすら下回るスペックでこの先何年も満足できるわけがない。中途半端を通り越してただの無駄遣い、という結論に。
もし買うとしても、自分のニーズにあっていて、今後数年は遊べる、納得行くものにしよう。散々調査をしたのでスペックと相場感は大体わかっている。そしてPC価格上昇のトレンドはしばらく収まる様子はない。買うなら早いほうが良い。よし買おう。買うしか無い。
秋葉原へ下見に。サイズ感やファンの音など実機でないとわからないものを見てみる。ミドルタワーと言われるゲーミングPCでも、サイズもファンノイズも問題なさそうだった。特に水冷PCのファンの静かさにはびっくり。ゲームベンチを動かしても全くうるさくならない。
10. そしてRTX5080へ
最初に考えていた構成はRyzen 7 9800X3D + RTX5070Ti。
とはいえ、PCスペックは遊びたい環境によって決まる。この場合は、ディスプレイ環境。モニタの数と解像度だ。
モニタは仕事とレーシムで兼用するので、横長モニタ1枚なら何かと楽。ただし、世の中には縦横比が32:9のDQHDまでしかなさそう。しかも20万円くらいする。現実的には3~4万円で買える21:9のUWQHDモニタか。しかし、どちらにしても縦横比が52:9となるモニタ3枚の没入感は期待できそうにない。
もう一度手元の環境でFHD2枚と3枚を再現。やっぱりトリプルモニタしかない。
モニタ枚数が決まったら次は解像度。4K(3840*2160)を3枚動かす構成にかけられる予算は無いので、WQHD(2560*1440)に。だとすると、GPUは最低でもRTX5070Ti。理想はRTX5080。当時の値差は7万程度。
PC自体が高い買い物だし長く使いたい。5070TiでWQHD3枚はややきついか。これから長く使うことを考えるとやはり5080となる。
大手のPC通販サイトは大体見たけど、フロンティアのセール品が最もコスパが高い。しかもセールと言いつつ、毎週やっている。ただし、チップセットが1世代前とか、メモリがシングルチャネルとか、ちょっと残念な点がある。その点を考慮しても他社よりだいぶ安いんだけど。
でもその週は奇跡的に文句無いスペックのPCが登場していた。
Ryzen 7 9850X3D
16GBx2 DDR5デュアルチャネルメモリ
2TB SSD
MSI製B850マザー
MSI製RTX5080
1000W 80PLUS PLATINUM電源
しかもありえないコスパ。ポチらない唯一の理由は自分が必要なスペックとマッチしているか決まってないことだけだった。
スペックが決まった今、理想のPCがバーゲンプライスで限定セールされている。でも夜だった。やっぱり夜だった。
ただ、これは買うべき夜だった。一晩寝かせても答えは変わらないことは分かりきっていたので即ポチした。翌朝には売り切れていた。
11. 朝5時の紙工作
さて、モニタの枚数と解像度を決め、PCも購入した。残るはモニタのサイズ。大きければ大きいほどシムの没入感は高まるが、設置場所の制約から23インチが現実的だろう。もしかしたらその次に大きい27インチが使えるかもしれないが、これは実寸の模型を作るなどしないとわからない。
この頃は毎朝5時に目が覚めていた。疲れているのに勝手に起きる。もう完全に脳がレーシム環境構築モードに入っていた。
その日も朝早く目が覚めた。早めの朝食を済ませると、仕事を始めるまでに2時間ほど空く。23、27、32インチ画面サイズの実物大の紙をそれぞれ3枚ずつ、合計9枚作った。それらを手持ちの22インチモニタに貼り付け、擬似的に各大きさのトリプルモニタ環境を作ってみた。
32は予想通り無理だったが、27でも問題ないことがわかった。これは大きな収穫だ。
12. DIYの日
モニタを27インチに決め、Amazonでほぼ最安のゲーミングモニタを3枚買う。もう悩みたくない。体に悪い。
4.3畳の部屋に、ミドルタワーPCを置いて、Playseat Challengeの収納場所を確保し、27インチモニタ3枚を、仕事時とレーシム時に使い分けできるようにしたい。毎朝5時に目が覚めて構想を練っていたのでプランはほぼできている。丸1日かけてDIYを行い、なかなか満足行くものになった。
13. Gemini、もういい
新しいPCが届き、モニタも3枚揃い、いつでもプレーできる環境が整った。でもここで中途半端に遊び始めたくない。やりたいことや、やるべきことが残ったままスタートすると、本来楽しめることの半分くらいしか実感できないのはバイクメンテナンスで身に沁みている。
このときやりたかったことは、アセットコルサでめちゃくちゃ綺麗と評判の首都高Mod(Shutoko Revival Project:SRP)と、そこを走る一般車のModを入れることだ。もちろん、前提となるPureとCSPも入れたい。
ここでもGeminiを活用するが、不正確な情報に振り回される。リンク切れ、誤った設定、クラッシュ。本当にもういい。おそらく動画や設定解説ページなどを見たらもっと簡単だったはず。不正確な情報に翻弄され、二度とやりたくない作業の一つになった。
丸々1日以上かけて導入完了。マジで綺麗。雨の夜なんかヤバい。家から15分もバイクを走らせればリアルな首都高に乗れるんだけど、それとは別の感動がある。東京タワーもレインボーブリッジもゲームの画面で見る綺麗さがある。黒木がR33をエンジンブローさせたトンネルを964ターボで走り抜ける楽しさもある。
もちろんLA CanyonとPCHのTrack Modも導入。LA Canyonは昔住んでいた近所のMt. Baldyに登っていく峠道にそっくりで懐かしかった。というか、最初はその道そのものだと勘違いしていて軽く感動した。
どうやら今度こそ、一切の悩み無くレーシムを楽しめる環境が整ったようだ。
結局ドハマリした
足首の怪我から始まり、レーシム環境の構築という結末にたどり着いたこのプロセス、自分で自分のために始めたものだから、いつどこでやめても良かったものです。ただ、それができず、明け方に勝手に目が覚めるほどに取りつかれ、相当な労力を費やし、2カ月の時間をかけて十分納得の行くものができました。
あまりに密度が濃い時間だったので、環境構築が終わった途端、本来の目的だったシミュレータをプレイせず、ただただシム環境ができたことに満足して終わるのではないか、という懸念もちょっとありました。
しかし、ちょうどその頃にリリースされたAC Evo 0.6版をプレーし始め、見事にドハマリし、毎日のように走っています。中でも非力なFRでニュルを走るのがとても楽しく、11,000回転まできっちり回しています。GW中はあまりにもやりすぎたせいか、車酔いになりました。それでもレーシムへの興味は尽きず、今日もちょっとずつ縮んでいくタイムをAIたちと一緒に追いかけています。





