2022年7月3日日曜日

いつかの北海道 The Last Night

 Day8 8/9


5:30起床。天気は悪くない。今日一日何とか持ちそうだ。


日本の南の海上には台風11号がいて、まっすぐこちらに向かっている。その影響で明後日に予約を取っていた帰りのフェリーは欠航となり、明日8/10に前倒しで帰ることになっていた。今日が北海道最後の夜になる。山から帰ってきたら夜は焚き火をしよう。


キャンプサイトから10分ほど歩きロープウェイ乗り場へ。7:30のロープウェイに乗り姿見の池駅へ。ここから山頂までは2時間半。その後間宮岳、中岳方面、裾合平へ抜け、約10Km、7時間程度のハイクの予定。土曜日だというのに人は少ない。ロープウェイ会社の人と雑談していると、7月の高山植物が綺麗な時期と、朝6時台の便を外すとそれほど混雑しないそうだ。


登り始めるときは見えていた頂上も、着いた頃にはすっかり霧の中。こーゆーのもだいぶ慣れた。


山頂でランチを取り、間宮岳方面に下り始める。程なく霧が晴れ始め、絶景が広がる。来てよかった。


無事、ロープウェイの駅まで辿り着き、旭岳のハイキングを終了。こんな景色と静かさがあるとは思ってなかった。また来たい。


ロープウェイを降りると大粒の雨が降り始めたところだった。雨雲レーダーで確認するとしばらくは止みそうにない。キャンプサイトまでの10分を濡れながら歩く。テントに潜り込んでしばらくすると、止みそうになかった雨はピタリと止む。「雨のボタン」はどこにあるのだろう。


タープの中においてあった椅子に、絵葉書のようなものが置いてあった。昨晩の夕食に招待してくれた方が書いてくれた水彩画だった。旭岳をバックに自分のテントが描かれている。今日帰ると言っていたのに、わざわざ時間と労力を割いてこの絵を描いてくれたと思うとほんとうに嬉しい。描かれているこのキャンプサイトは4泊したし、絵を描いてくれた方も含めいろいろな人とたくさんの時間を共有した場所だ。とても良い思い出になることは間違いない。


昼寝をし、温泉でさっぱりし、夕食を済ませる。明日ここを発つ準備をすませ、すっかり暗くなった頃に焚き火を始めようとする。


どこかの学校の山岳部20人位が昨日からこのキャンプサイトにいるのだが、その中の3人が近くをウロウロしている。焚き火がしたいと言っている。3人だけというので一緒になって静かに火を囲む。


聞けば大雨だった何日か前、山小屋の隣でずぶ濡れになりながらテント泊をしていた学生だった。あの日はテントの中に池ができてびっしょりになり、本当に辛かったと言っている。テントが乾いたあとも、代々使われているテントは何ともいえない異臭がしてたまったものではないと。山登りは嫌いだ、早く里に降りたい、と3人共口を揃えて言っている。


あっという間に12時近くなり薪も燃え尽き、お開きに。火の始末をして3人と別れ、一人で空を見上げる。明るすぎる月明かりの下、星が少し見える。今回の旅は雨のお陰でだいぶやり残した感があるのは否めない。この瞬間の開放感と、次につながるやり残した気分を胸に、テントに潜り込み眠りにつく。


―完―

姿見の池と、水蒸気の向こうに見える旭岳




頂上直下の急斜面を下から見上げる。雪渓の上はグリセード(or尻セード)でやり過ごせるが、土の斜面は急すぎてまともに歩けない


少しの晴れ間に旭岳を振り返る。頂上に立っている人たちが見えた。


熊ヶ岳の残雪は -_-; にしか見えない


中岳温泉に下るトレール。だいぶ晴れ間が見えるようになってきた。

裾合平付近。土曜日だけど人に会うことはほとんどない。


いつかまた行こう


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